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雑貨人生20数年の想い出、感じたこと、創作を愛する人へのエール といった感じのエッセイです。
雑貨屋KUMAのエッセイ 「雑貨想い出帖」 バックナンバー

   Vol,14〜Vol,59

(14以前は保存してありません)


第38回
「手作りはなぜ楽しいんだろう?」
(2003年6月1日UP)

最近手作りを楽しむ方が増えているように感じます。 もちろん以前からたくさんの方が、手作りを楽しんでいらっしゃったと思いますが、ネットの普及によって、さらに多くなったような気がします。
これまでは店頭、あるいは書籍、テレビなどでしか手作り品や、作り方を紹介するものはありませんでしたが、ネット上に星のごとく存在する手作りサイトを見て、「私もやってみたい」「私にもできそうだ」、そうお思いになる方が増えたということは、間違いなくあると思いますね。
編みぐるみ、ぬいぐるみ、ビーズ、トンボ玉、シルバークレイ、ステンシル、そして私がやっていますレジン成型などなど、様々なサイトを家にいながら見て歩く(?)ことができるわけですから、興味が広がるのは当然です。
そしてそれらの材料もネットで購入できるようになり、お住まいの地域による格差がほとんどなくなったことも、手作りを始めたいという方の後押しをしていると思います。

私はこれはとてもいいことだと思ってます。 さらにいいことは、ネット上に自分のショップをに簡単に作り、そこで作ったものを公開したり、販売したりすることができる、ということですね。
これはすごいことですよ。 これまで手作りはほとんどの場合趣味の範囲を出ることはなく、自宅に飾ったり、まぁせいぜい友人にあげたりするくらいだったと思います。
もちろんそれだってとても楽しいことには違いありませんが、HPを持つということは、その楽しさを数倍にしてくれるのです。 これはHPを公開していらっしゃる方なら、うなずいていただけるでしょう。

HPのアクセスカウンターの数がなかなか増えなかったり、掲示板に書き込みがなくて寂しかったりすることはあると思いますが、それでも自分の作ったものを、世界中の人に見てもらうチャンスを手にしたという喜びは大きいものですよ。
それだけでなく、同じジャンルのものを作っているサイトをおとずれたり、掲示板に書き込みをしたり、メールのやりとりをしたりと、同じ趣味を持つ方々と、距離を越えて交流を持つ楽しみもありますよね。
楽しさを共有する嬉しさ、心強さ、ということでしょうか。 私自身これはとても強く感じますね。 これまではとかく一人の世界にこもりがちで、人とつながりを持つことをわずらわしくさえ感じていましたが、ネットショップを始めてから、いろんな方とメールや掲示板で接するうちに、もっとたくさんの方と知り合いになりたい、もっとたくさんの方の作品を見てみたい、そういう強い好奇心を持つようになりましたし、また、自分は決して一人きりじゃないんだ、ということも感じるようになりました。 これは私の人生にとって、非常に大きな変化ですね。
このことだけでもHPを持ってよかったと思います。 それからこれまで手作りを続けてきてよかったとも思いますよ。

私はレジンでインテリア雑貨を作ることを職業としていますから、当然そうした物を作ることが多いわけですが、やはりそれだけでは物足りないんですね。 なにか他のものも作ってみたいのですよ。
料理をすることもそうですし、花や野菜を育てることもそうです。 竹炭を作ってみたり、七輪に炭をおこしてガラスを溶かしてみたり、粘土をこねて焼いてみたりと、いろんな物作りをして楽しんでいます。
もちろん全部がうまくいくわけではありませんよ。 むしろ失敗の方が多いです。 しかし私は「なにを作ったか」ということよりも、「何をしようとしたのか」ということの方が大切だと考えています。
つまりできあがった作品よりも、それを作ってみたいという好奇心を持つこと、そして実際に実行してみることの方が大切だと思うのですよ。

とかく人は結果だけで判断しがちですし、評価されがちでもあります。 でもね、うまくできなくてもいいじゃないですか。 人と比べることはありませんよ。 確かに自分自身の手から生まれたものであれば、それは立派な作品ですし、もし仮に自分でも失敗したと思っても、最初から失敗や恥をかくことを恐れて、なにもしないよりはいいですよ。 私はそう思います。
なんにでも好奇心を持って、そして興味を持ったならまずやってみる、そうした姿勢があるとなしとでは、物作りの楽しさは大きく違ってくると思いますね。

私の友人にも「オレ、料理できないから」と、手を出さずにうしろに引っ込んでいる人がいますが、嫌いならいざ知らず、「やったことないんだけれど、どうやるの?」という気持ちを持つことは大切ですよね。
そうでなかったら人間は何もできません。 就職もできませんし、子育てもできませんよ。 最初に失敗するのはあたりまえなんです。 でもそれを怖がっていたら前には進めませんし、結局は自分の可能性を狭め、人生をつまらなくしてしまうと思いません?

私はやたらといろんなことに手を出してしまうので、夜寝る時以外は絶えずなにかしら作っているような状態で、いささかオーバーワーク気味ですが(笑)、しかしそれらから得る「充実感」は、私にとって疲れを忘れさせるに余りあるものですね。 毎日がとても楽しいです。

ではなぜそんなに手作りが楽しいのか。 おそらくこれは単純なことなんでしょうね。 つまりなにもなかったところから、自分自身の手で命を生み出すことへの感動、じゃないでしょうか? ちょっと大げさかもしれないけれど。
紙の上のたし算やかけ算ではなく、無から有を生み出す造物主の感動、これまた大げさですが、そういう気持ちになることは事実ありますよ。 「こんなのができた!」っていう単純な喜びですね。
レジンで作品をお作りになって、「子供の頃の図工を思い出しました」という方、多いですね。 物を作り出す楽しさ、嬉しさ、感動はおとなになっても変わらないですし、そうした気持ちを失って欲しくないですね。

いつまでも好奇心を持ち続けることは、人生を楽しむことだと思います。 そういう人は歳をとりません。 いや、歳をとっても老けませんね。 私のまわりにもそうしたおじいちゃんやおばあちゃんが何人かいらっしゃいますが、私もそうなりたいと思いますね。
「最近の若い子は失敗を怖がる」ということはよく聞きます。 私もそう思います。 これは偏差値教育の弊害なわけですが、とても残念なことですね。
失敗したっていいんですよ。 もちろん人に迷惑をかける失敗はいけませんが、たかが物作りですからね、だれはばかることなく、堂々と失敗すればいいんです。
大切なのは失敗=ダメ、と思わないこと。 その失敗をも楽しんでしまう気持ちを持つこと。 「こんなんなっちゃったよ、ははは」と、気楽に考えればいいんです。 それで飽きてしまったら次のものを探せばいいですし、その失敗を活かしてもう一度やってみるのもいいでしょう。
とにかく 「私、不器用だから」と遠慮せずに、なんでもやってみることです。 もう一度いいますが、人と比べる必要なんかないんですよ。 自分が楽しければそれでいいんです。